カゴノオトのこと
「カゴノオト」は高知県四万十町という小さな町でシュトーレンの製造・販売を手掛ける菓子店です。
2011年の東日本大震災が大きなきっかけとなり「生きる力をつけたい」と夫婦で東京から高知県四万十町へ引っ越しました。 引っ越した当初は有機農家さんの元で働き、その後カフェをオープン。現在は四万十町の窪川という地域へ移転して菓子店を営んでいます。
(以前のお店 四万十町十和地域でのお店の前)
四万十町に移住して一番驚いたのは、身近なところで野菜や果物が豊かに育ち、どれもとびきりおいしいことでした。 そのおいしさを伝えたくてカフェを始め、料理やお菓子を作り、地域の素材を使ったシュトーレンづくりも始めました。
地域に暮らしながらたくさんの方と交流できたのは、自分たちにとってとても貴重なことでした。 出会った人たちとのつながりが生まれ、見ず知らずだった土地が時とともに大切な場所へと変わっていきました。
私たちが大切にしている3つのこと
生産者さんとのつながり
一口に「生産者さん」といっても、一人ひとり違う背景があり、物語があります。 実家が代々農家でそれを継いだ方、一度は故郷を離れて就職し、Uターンして農業を始めた方、建設業を営みながら地域に賑わいが生まれることを願って観光農園を始められた方もいらっしゃいます。
みなさんに共通しているのは、「自分の育てたもので食べる人に喜んでもらいたい」と思っていること。 そのために手間を惜しまず、朝早くから夜遅くまで、晴れの日も雨の日も絶え間なく農作物に心を配っておられます。 その姿に自分たちはいつも力をもらっていて、そういう生産者さんと出会えたことが、商品をつくる大きな原動力になっています。
関わってくれる方とのつながり
見ず知らずの土地では、何をするにも1人で完結できることはありません。 不動産屋さんはないので、物件を探すのも人に紹介してもらうことが必要で、生産者さんと知り合うのも人づてに紹介してもらうことが多くあります。 袋や箱などの資材を扱う業者さんや、カゴノオトのウェブサイトを作ってくれてる方とも、人とのご縁で出会いました。 そうして出会う方はみなさんとてもいい方で、心意気があって、かっこよく、感謝してもしきれないくらいお世話になっています。 仕事を通していろいろな人たちと関わらせてもらうことで、自分たちもよりよく仕事をしていこうと力をもらっています。
お客さまとのつながり
元々カフェをしていたこともあり、お客さまとの交流をとても大切にしています。 インターネットで販売するようになってからも、それは変わりません。 お客さまに手書きのハガキを書いたり、シュトーレンを食べてもらう企画を催したり、地域のイベントや都内の百貨店へ出張販売に出かけたり、オンラインイベントを企画したりしています。 お客さまと交流し、お話を聞かせてもらうことは、自分たちにとって大事な時間です。 その時間があるからこそ、明日もよくしていこうと思えています。 お客さまとのつながりが、カゴノオトを続けていく1番の原動力になっています。
カゴノオトの人
東京から高知県の四万十町に引っ越してお店を始め、シュトーレンを作るまでには、それぞれのこんな想いがありました。
前 成照
東京のホテルのレストランでコックさんとして朝から晩まで忙しく働いていました。
毎日大量に食材を扱っていましたが、誰がどんなふうに育てたかを知ることは難しく、それを少しでも知りたくて休みの日は関東近郊の農家さんの元へ通うようになりました。
農家さんと一緒にする作業はとても楽しく、食べ物はどれもおいしく、野菜がどんなふうに育つのかも知ることができる。
朝から晩まで働き詰めの自分にとっては、畑で過ごす時間は宝物のような時間でした。
そして「育てる人」と「食べる人」の距離が離れていること、見えにくくなっていることの弊害にも気づくようになりました。
そんな折、2011年3月11日に東日本大震災が起き、東京は電気が止まり、電車も止まり、情報は錯綜し、僕はパニックになりました。
その後、働き方と暮らし方を見つめ直すため、かすかなつてをたどって東京から高知県の四万十町に夫婦で引っ越しました。
四万十に暮らしてみて、農家さんが目の前で作物を育てていらっしゃったり、季節ごとにいろいろな野菜や果物が実ることに驚き、自分自身も農業をするため有機農家さんのもとで働いていました。
そんな中で気付いたのは、農産物の価格にその労力が反映されていないという現実でした。
兼業農家の家庭で育った自分にとって農業は身近で、その大変さを知る身として、農産物が「安さ」でしか評価されない現実に悔しさを抱きました。
現場の大変さを伝えるのではなく、人の魅力や果物のおいしさを伝えるために、「素材」「製法」にこだわって商品を作っていこうと心に決め、四万十の素材を1年かけて集めたシュトーレンづくりが始まりました。
1年分の恵みの詰まったシュトーレンをお届けすることで、少しでもホッとできたり、自分に優しくなれる時間を過ごしてもらえたらいいなと、一つひとつ心を込めてお作りしています。
小清水 緑
東京にいた時は、障がいを持つ人の施設でソーシャルワーカーとして働いていました。
社会には、多様な人がいて、いろいろな暮らしをしているとつくづく感じました。
自分も仕事をしながら、他の人には普通にできることなのに、自分にはできないことが多く、いつも「欠けている自分」だと思っていました。
あとからこれは発達障害だったのかと知ることになります。
欠けていると思っていたけれど、これは私の持っている「生きにくさ」だったのかと知り、その時はとってもホッとしたことを覚えています。
できないことがあっても、できることをもっとしていったらいいと考え仕事をやめて、四万十町へ移住して仕事を作り出したいと思いました。
移住して出会えた人や、目の前の人が幸せだといいなと思い、出会えた農家さんのものを買わせていただき、喜んでもらえる人にお届けしたい。
四万十の小さな小さなお店から、想いをのせてシュトーレンをお届けします。
カゴノオトの理念
「カゴノオトの事業を通して出来ても出来なくても認められる社会に貢献していく。」
「カゴノオトに関わるすべての人が豊かになり、出会えてよかったと思える事業を展開していく。」
ロゴマークのこと
カゴノオトのロゴマークは、カゴノオトが始まったばかりの2014年に「かめちゃん」にデザインしていただきました。 私たちが移住したのと同じ頃、かめちゃんも四万十に住んでいて、お店に何回も来てくれていました。 カゴノオトがこれからどんな歩みをしていくのか、まだまだわからなかった時に何度も何度もやりとりを重ねながら、このロゴマークが完成しました。 当時かめちゃんとのやりとりにこのようなメッセージが残っています。 「カゴノオトはまだ赤ん坊の状態で、これから沢山の時間と、多くの人たちとの交流を経て形づくられていくもの。 これをイメージして、完成されたカゴの姿ではなく、編みはじめの”未完成感”を表現しました。 また、この編みかけのカゴの角度は、右回りに47°の角度が付いています。 この数字は四万十川にかかる沈下橋の数で、カゴノオトが沈下橋のように、人、モノ、文化を繋ぐ懸け橋であってほしい、との思いも込めています。」と。 2014年から使っているこのロゴマーク。 そこに込められた思いに応えられるよう、このロゴマークとともにカゴノオトをよりよく形作っていきます。
アクセス
お店はこんな風景の広がる場所にあります。
道路沿いにあるこの看板が目印です
もともとはガレージだった場所を自分たちで改装して工房兼ショップを作りました。
↑改装前
↑改装後
1年かけた四万十の旬でつくるシュトーレンや、旬の素材を使った【しまんと果実】タルトも作っています。
みなさんのご来店、心よりお待ちしています。
◇お車でお越しの場合
高知市内からは車で約1時間
高知自動車道 四万十町東インター出口より10分
四万十町中央インター出口より15分
◇JRをご利用の場合
JR窪川駅よりタクシーで13分
◇飛行機をご利用の場合
高知龍馬空港から車で約1時間半
空港連絡バスで高知駅まで20分、高知駅から電車で1時間の窪川駅下車
窪川駅よりタクシーで13分
◇駐車場4台あり
カゴノオト
〒786-0052
高知県高岡郡四万十町土居6
080-8730-9038
営業時間 木・金・土 10:00-16:00
https://kagonote.com
info@kagonote.com