カゴノオトを始めた理由by前 成照
カゴノオトを始めた理由by前成照
先日高知の元気な経営者や事業者の集まるe商人塾の合宿に参加してきました。
登壇されていた方からの「何か思いがあるから始めたはずなんですよ」という言葉と、懇親会での「結局は何がやりたいかですよ」という言葉に、改めてなぜ引っ越してカゴノオトを始めたかを振り返ろうと思いました。
東京に暮らしていた頃は新聞配達、映画のセットを作る大道具の仕事、それを経てホテルのレストランのコックとして6年間働きました。
コックの仕事は面白く朝から晩まで忙しく働いていたけど、大きな組織の中で上から言われる事をこなしていくこのままの働き方でいいんだろうか、と不安も抱えていました。
そんな不安を打ち消すように休みの日は新宿や池袋の駅前の路上で太鼓を叩いて歌い、自分で練りに練った食や農のイベントを企画していました。
大げさかもしれないけれど職場の自分は仮の自分、歌を歌っている時、イベントをしている時が本当の自分だと、思って暮らしていました。
そんな中2011年3月11日に東日本大震災が起こります。
原発は爆発し、ちょうどそれを放送していたテレビはライブ中継から静止画に切り替わり、政治家は「ただちに健康に影響はない!」と言い放ちました。
何が起こっているかは分からなかったけれど、凄まじく空恐ろしい事が起こっている事は理解でき、寝る間を惜しんで生き延びるために必死で情報を集めました。
原発に反対の意思表示をするためのパレードにも参加したけれど、原発や原発を支える巨大な組織に物申すなら、大きな組織の中で言われた事をこなす今の自分の働き方は限界に感じました。
生活のためと自分を殺して仮の自分を演じ続けている限り現実は何も変わらないし、少しでも世界をいい方に寄せて行こうと思うなら、自分の頭や体、使えるものを全部使って自分が責任を取れる働き方をしていかないと変わらない、と思って仕事を辞めました。
これからどんな事が起こるか分からないけど、常に変わり続け、風通しよくあるため「前 成照で食っていく」と東京から四万十に引っ越しました。
そんな思いで引っ越して早や7年。
志高く引っ越したものの稼いで行くのは想像以上に難しく、日々の忙しさに押され、今何号目に差し掛かっているのかさえ分からないけど、小清水と始めたカゴノオトという「器」を使って何とか稼いでいこうと奔走しています。
全然まだまだだけど仮の自分も本当の自分も使えるものは全部使ってできる事をしつこくやり続けてカゴノオトできちんと稼いでいく。
それを少しでも前に進めていく事が世界をいい方に寄せていく事に繋がると思っています。
この文章を書きながら仕事は世界と自分の橋渡しだったんだなぁ、と改めて思いました。
長文最後までお付き合い下さってありがとうございました。
今日も一日思う存分働こっと。
2018年9月21日