「筆で花を咲かせる」
はちゃめちゃ忙しかったある日のこと。
突然お店にいらっしゃったその方は、季刊高知の編集をされていて
「締め切りの都合で早めに取材に伺いたいです」とゴリ押しな内容を述べられつつも、
不思議とにこやかな印象を残して帰っていかれました。
取材当日もはちゃめちゃ忙しく、お客さまの対応の合間を縫って
慌ただしく取材してもらい「翌々日には原稿を送ります」と帰っていかれました。
2日後、届いた原稿を読ませて頂いてただただ驚きました。
ほんのわずかしか喋ってなかったにも関わらず、意図をぴたりと汲んで下さったばかりか、
僕らの言葉が足りたなかった部分はウェブサイトを読み込まれたであろう事が窺えました。
他の媒体で自分たちの事を取り上げて頂いた時に、言葉にちょっと違和感があったり、
ズレを感じる事があったものの、取り上げて頂くだけでありがたいので
「人に書いて頂くというのは少なからずズレも生じるもの」と思っていましたが、
さにあらず。
素潜りで漁をするかのように、大きく息を吸い込んで
取材対象の暮らす深さにまで潜って、肩を並べて、呼吸を合わせて、
そこに映る光、音、熱気を拾い集めて言葉を紡いでいく作業。
それは簡単にできる事ではなく蓄積された経験や失敗、洞察力のなせる技で、
なにより取材対象にエールを送るかののような温かな筆致が印象的でした。
まるで筆で花を咲かせるかのように。
そんな季刊高知、野並さんにカゴノオトの事を文章にして頂けて
心からありがたいと思うと同時に、
自分たちも仕事を通して花を咲かせていけてるかと自問しています。
至らない事だらけだけど精一杯やっていこう、と、
野並さんの文章に背中を押してもらったように思いました。
そんな季刊高知は高知県内の書店のほか、
出版社さんのご好意でカゴノオトでも販売させてもらってます。
機会があったらぜひ読んで頂きたい一冊です。
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2021年10月15日