紅茶の茶葉が愛おしくなる製造現場でした
カゴノオトで販売している「花ノヨソオイ」
カゴノオトの焼き菓子に合う紅茶を日本茶インストラクターの柿谷奈穂子さんとセレクトして昨年から販売しています。
今夏、製造現場を見せていただきに行ってきましたレポートです。
国内の紅茶の歴史は古く、高知でも戦前から紅茶を生産していたそうです。
しかし、お茶の自由化が始まったのが昭和46年。その頃より紅茶は外国産のものがたくさん入ってくるようになり、その結果、多くの農家さんは日本茶の生産に切り替えていき、津野町でも紅茶を作る農家さんがいなくなってしまっていました。
30年くらい途絶えてしまった紅茶をもう一度作り始めたいと平成3年に津野町で秀平さんが試験的に作り始めたのがこの紅茶の始まり。
それから研究に研究を重ね、機械を整備してご自分でデータを取り、改良しながらこの紅茶ができあがっています。
紅茶というのは、発酵させて作るということだけは知っていましたが、どんなふうにどれくらい発酵させるものなのかなど、知らないことだらけ。
紅茶を作る日に、日本茶インストラクターの柿谷さんと一緒に見せていただきに行ってきました。
紅茶は6月に摘み取ります。
夏の始まりに摘み取ったものを使うのだそう。
紅茶の茶葉となる葉は前日に摘み取り、一晩置いておきます。その間にお茶が適度に酸化してくることによりいい香りが茶葉から出てくる。萎凋(いちょう)という工程だそうです。
緑茶は摘み取ったらすぐに蒸しながら加工し、蒸さずに揉んでいきます。ここが紅茶と緑茶の大きな違いです。
紅茶の作業は流れ作業でだんだんと茶葉が運ばれて、工程を進んでいくたびに作業が進んでいきます。
摘んだ茶葉は、奥様が茶葉を見ながらベルトコンベアで移動させていきます。
下の写真が秀平さん。
事前に「秀平さんは農家さんでもあるけど、エンジニアさんでもあります。見てもらったらわかるけど、行ったら驚くと思いますよ。」と柿谷さんに言われていました。
そう教えていただいていたものの、実際はこんなふうになっているなんて想像もしておらず、驚くばかり……。本来ならば緑茶を製造するラインだそうなのですが、秀平さんは独自に工夫して、おいしい紅茶を作れるようなラインに代用されていらっしゃるのだそうです。
途中で中を開けて見せてくださいました。
まだ茶葉は水分が残っている状態。
こちらで茶葉を揉んでいきます。これが「揉捻(じゅうねん)」という工程だそうです。
お湯をさした時に茶葉からしっかり味がでてくるのは、この工程があるからなんだそう。
ここからさらに発酵を進めていきます。これが紅茶最大の特徴。
紅茶の清んだ赤い色合いは、この発酵の過程があるからこそ。
工場(こうば)の中にはこんな風に手書きのメモが貼ってありました。
秀平さんは全てをデータ化していらっしゃいます。
茶葉の水分量をはかり、それにあった加工の仕方をしていく。
感覚だけでなくちゃんとデータをとってそれに基づいて作っていくことが毎年同じ味を出すことができるのだそう。
全てのデータをPCで管理。
計測機がつけられていてこれで計測をされるんだそうですがこの計測機!!
なんとタッパー!!手作りです!!
柿谷さんから教えていただいていた「エンジニアさんですよ。」にとっても納得します。
最後に「精揉機(せいじゅうき)」にかけていきます。ここが秀平さんならではのこだわりなんだそう。
この機械は本来は煎茶を針のように細くするための機械なので、紅茶では使うことがないのですが、秀平さんは積極的にこの機械を使っているんだそうです。この工程をすることによってしっかり味を出すんだそう。
この棒状になっているのも秀平さんの紅茶の特徴です。
作業をしながら説明をたくさんしてくださいました。
様々な工夫と蓄積によってできがっている紅茶「花ノヨソオイ」。
コクがあってとっても美味しい紅茶です。
こうやって実際に見せてもらって説明してもらうと、紅茶の茶葉が愛おしく感じます。
2021年9月22日