クリスマスのドイツ菓子、spekulatius(シュペクラツィウス)

こんにちは。カゴノオトスタッフのあきです。

6月がまもなく終わろうとしています。

今年は、ジメジメ湿気の梅雨がないまま7月に突入しそうな四万十です。

(私の住む地域では、梅雨のシーズンは湿気との戦い。でも、湿度のおかげで肉厚でジューシーな原木しいたけが育ちます。)

 

SPEKULATIUS

speklatius

PexelsKaboompics .comによる写真

今月号では、ドイツのクリスマスシーズンに欠かせないお菓子、

シュペクラツィウス(spekulatius)に注目してみたいと思います。

Spekulatiusとは、シナモンやナツメグ、クローブ、しょうが、カルダモンや

白胡椒などのスパイスの入ったサクサクの平たいビスケット。

ドイツのクリスマスマーケットでも売られています。

象や馬、鳥、農家、船、サンタクロース(聖ニコラオ)など、

クリスマスの伝説をモチーフとした様々な形のものがあります。

カゴノオトのジンジャーマンビスケット

ドイツでは、プレーンと、シナモンが入ったもの、

アーモンドスライスを裏面に散りばめたものの3種類があるそうです。

スパイスは、1600年代頃から東インド会社の貿易によってオランダに入ってきました。

ベルギーではスペキュロース(Speculoos)、オランダではspeculaasという名前で、

これらの国々では一年を通して手に入ります。

日本でも、ロータスビスコフが販売されているので、

食べたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

 

木彫りの型抜き

biscuit

PexelsOleg Magniによる写真

いろいろな形のビスケットというと、

クッキーの型抜きを使って作るのかな?と思いきや、違うのです。

昔は、模様を彫った木型に生地を入れて、抜いてから焼いていたのだそう。

もちろん昔は木型を彫る機械などなかったでしょうから、きっと手彫りだったのでしょう。

木型に入れて形成し、オーブンで焼いたあと、アドヴェントの日曜日がやってくるまで、

空気の入らないブリキの中で保存していました。

時間をおくことで、スパイスが馴染み熟成されます。

また、19世紀にベーキングパウダーが登場するまで、

添加物として炭酸アンモニウムを使っていました。

炭酸アンモニウムを使用することで、固くてザクザクした歯応えになり、

カラメル化するのだそうです。

 

模様が彫られれているのばし棒

木型の他にも、wooden mold rolling pinと呼ばれる

伸ばし棒の表面に型が彫られたものもあります。

薄くのばしながら形もつけられる。

なんと合理的な道具でしょう!

そして、この形をつける作業ってとっても楽しいだろうなと思います。

silicon

PexelsKaterina Holmesによる写真

アンティークの木型や型を彫ったのばし棒がネットで売られているのを見るにつけ、

各家庭で一般的に使われていたキッチン道具だったのだろうなと想像します。

ちなみに、風車で有名なオランダでは、風車の形の木型も一般的なようです。

 

そして現代では、掃除に使うコロコロの形で、シリコン製のクッキーメイカーもあるみたい。

伸ばし棒に彫る型も、レーザーでつけられるようになっています。

時代が変わると機械化や材質が変わることによって、便利で安価になっていきますが、

手作りの楽しさや、焼き上がるまでのワクワク感は、

きっと昔も今も同じだろうなと思います。

 

参考資料

Traditional Speculoos Cookies

https://www.deutschland.de/en/topic/life/lifestyle-cuisine/christmas-classic-spekulatius

https://en.wikipedia.org/wiki/Speculaas

『ドイツ菓子図鑑 お菓子の由来と作り方』森本智子 誠文堂新光社

 

カゴノオトスタッフ 刈谷明子
徳島県出身。
徳島→東京→四万十
東京の大学卒業後、高知の出版社で働いたのち、
NPO法人高知こどもの図書館で司書として勤務。
その後、結婚を機に四万十へ移住。
現在、認定NPO法人高知こどもの図書館で理事を務めるかたわら、
カゴノオトで受注や事務の仕事を担う。

 

2021年6月26日

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