えっ、それってちなみにどんな味?

どんな味

ホテルのコックさんとして働いていた頃の話。

料理が好きで入った料理の世界は思ってたのと結構違った。

朝から晩まで大変な思いをしながら料理を作っていたけど、毎回料理は大量に余って、大量に捨てる。

どんな人が育てた野菜かも知らず、どんな人が食べてくれてるのかも分からず、

ひたすら作ってはひたすら捨てる日々を過ごす内に、いつしか感覚は麻痺していった。

何か違うけどどうしていいか分からず、なぜか「よし!パスタを食べに行ってみよう!」と思いつき、

なけなしの金を持って一路イタリアへ。

「何かが変わるかも」と淡い期待を抱いて行ったパスタの国は、映画に出てきそうな街並みで、

キラキラして街ゆく人はみんなおしゃれだった。

それに気後れしまくった貧乏旅行の自分は料理を食べに来たのにろくに店にも入れず、

言葉が通じなくてもなんとかなりそうなマクドナルドのハンバーガーに救われる。。。

さすがにこのまま日本に帰ったら何も話せん、マズイ!と、帰国前日一念発起。

重たい心を引きずりながらキラキラ輝く一軒のレストランへ。

言葉も通じず身振り手振り、やっとの思いで注文したペペロンチーノを食べたとき

「あ、このペペロンチーノ作った人、このにんにく育てた人知ってる!」となぜか思った。

そう、なぜか。

必死過ぎたからそう思ったのか、ただの勘違いか分からないけど、

店の裏口で採れたて野菜を持ってきた農家さんと話してそうな味といいますか、、、(えっ、どんな味?)

人が育てたものを

人が料理して

人に提供している

という、シンプルだけど気負わない優しい味がした。

人を知ってるからこそ出せる味、もっと言うと人を知ってるから出ちゃう味ってあるのかなと。

そんな体験をして帰国後、仕事が休みの日は関東近郊の農家さんの所へ行き

一緒に農作業をさせてもらうようになった。

育ててくれる人がいて

作ってくれる人がいて

食べてくれる人がいる

その関係性を大事にした商品をこれからも届けていきたいと思う。

長くなりました。

最後まで読んで下さってありがとうございました!

 

カゴノオト 前 成照

https://www.kagonote.com/p/free-page/page/p/about#mae

広島県出身 広島→島根→東京→四万十 四万十に引っ越してくるは東京のホテルでコックをしていた。

そのは映画のセットを作る大道具の仕事。

そのは住み込みで新聞配達の仕事。

そのはヒッチハイクで旅していた。 ホテルでは野菜はFAXを業者さんに送れば次の日には届いていた。

どんな人がどんなところで作っているのか全然わからない野菜を使って

料理をすることに違和感を感じていた。

仕事をしながら、休みの日を使って関東の農家さんを訪ね歩いたりしていた。

2011年東日本大震災が起こったときに自分の無力さを痛感。生きる力をつけたいと四万十に移住。

今は、どんな人がどんなところで作っているかがわかる素材を使って

タルトやシュトーレンを作ることができて、とてもありがたい環境にいるとつくづく思う。

四万十で出会った方々のことやここで暮らしたからこそわかることをここ四万十の風景とともに

お菓子を通してお届けしていきたいと思っている。 持っている資格:調理師

2021年6月22日

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