【0泊5時間別府旅】


「やばい!」


その悲報が耳に入った時刻は22時。
ピークを越した疲れを少しでも癒そうと入った風呂の中だった。

何が起こったかを知るべく部屋に戻ると、本来なら明日到着するために今日発送しておかないといけない荷物を発送していなかった事が分かる。

一瞬、頭が真っ白になるも次の瞬間から、どうやったら明日中に商品を届けられるか、クロネコヤマト、郵便局、バイク便と思いつく限りに検索し、電話番号が掲載されている所は片っ端から電話するも日曜深夜につながる窓口なんて無く、唯一できたバイク便の概算の見積もり額は28万円を越え、途方に暮れる。

発送できていなかったのは、高知、岡山、大分の3件。
製造も集中力を高め細部にまで心を通わせ、発送もミスが起こらないよう細心の注意をし、マニュアルを何度も改善し漏れないように何重にもチェックを重ねてシュトーレンの発送を進めてきた。

今回のミスは
・発送日まで少しのタイムラグがあった事
・発送する商品の置き場所が少し違っていた事
・発送の際の2人チェックは行っていたものの、夜になったので集荷の連絡ができていなかった事
・出張販売が重なり担当者が不在になった事
など、いつもとちょっと違う事が幾重にも積み重なって起きてしまったミスだった。

ただ、ミスが起こった原因は分かり、今後改善していくとしても、商品は明日には届かない。

1年かけたシュトーレンは決して安い買い物ではなく、買って下さる方の心意気や、カゴノオトへの応援、信頼など、みなさん色んな事を思いながら買って下さっていると思う。

それを感じるからこそ仕入れ、仕込み、製造、営業、販売、発信、受注、梱包、発送、と全てにおいて細心の注意を払い、待って下さっている方に喜んで頂けるよう万全の態勢で望んできた。

幸い注文して下さった方は連絡の取れる方だったので事情を説明すれば「無理しなくてもいいですよ」と言って下さるかもしれなかったが、その言葉を聞いてしまうと揺らいでしまいそうで、連絡せず車を走らせる事に決めた。

八幡浜6時20分発のフェリーで大分・別府へ向かうには四万十を午前3時に出発すれば、間に合い睡眠時間を3時間に削れば何とかなる、、、はず。。

別府に着いてからはヤマト、郵便局に荷物を持って行って「なんとか今日の配送お願いします!」と頼みこもうと、それが可能かどうかは分からないけど、3時に起き一路、大分を目指した。

途中何度か睡魔に襲われるも6時10分に八幡浜港に到着し、フェリーにも乗れ、フェリーの中でお客さまへのメッセージを書き上げ送信した後は、別府の郵便局、ヤマト運輸を検索し、そこで配送できなかった場合の事も考え、バイク便、赤帽を調べた。

フェリーの到着と同時にタクシーに飛び乗り配送会社を回るも当日配達は受け付けてもらえず、今度は公共交通機関を利用して自分でお届けできないかを調べつつ、お客さまに電話をかける事にした。

移動されていたのですぐには電話がつながらず、その間も何とか今日中にお届けできないかを調べて、ようやく電話もつながり事情を説明し、突然シュトーレンの配達に本人が来てる事にとてもびっくりされていたけど、無事にシュトーレンをお渡しする事ができ、滞在時間5時間で帰りのフェリーにも乗れ、その日のうちに無事に四万十に戻る事ができた。

今回、車を走らせながら思ったのはこれは美談ではなく、スタッフ全員があんなに何度も何度もチェックしてミスがないように心を尽くしてきたのにそれが崩れてしまうのが悔しかったし、何より待って下さってる方の事を思うと居ても立ってもいられなくて走ってしまった。

そのくらいの心持ちで1年シュトーレンを作っているし、今回ミスが起こった事でそれが明らかになったけど、全てにおいて高い精度、集中力で仕事をしていて、お客さまからの問い合わせにもひとつひとつ真摯に対応し、心を砕いて事業をしているからこそ、このままの精度を保ってお客さまに喜んで頂けるよう価格改定に踏み切った事を思い出した。

そして今の自分たちがお付き合いさせてもらってる色んな方の仕事に対する熱量、人に対する熱量を普段から垣間見ていたら、今回の行動はそこまで極端な行動ではなく、「あの人だったらどうするだろう」「あの人だったらどうしたかな」と頭を巡らせながらハンドルを握っていた。

そのくらいみなさん矜持を持って事業をされているし、そんな皆さんとお付き合いさせてもらって磨いてもらったからこそ、今のカゴノオトがある。

カゴノオトの理念に「カゴノオトに関わるすべての人が豊かになり、出会えてよかったと思える事業を展開していく」というものがある。

この理念を実現していくのは並大抵では無いし、難しいことの方が多いけど、ギリギリまで自分なりにベストを尽くせたか、が問われているのだと思う。

補足として小さなお店がこうする事を推奨している訳では決して無いし、もし事故などしていれば語られ方は全く別物になっていたと思う。

あくまで自分のキャパ、できることの最善を尽くした事が、今回のできごと。

仕事を通して、お客さまとの関係を通して、たくさん学ばせてもらい、色んな事を教えてもらっていて、今回の出来事を通してこれからも心を込めて仕事していこうと、改めて思った。

長くなりましたが、最後まで読んで下さってありがとうございました!

カゴノオト、前でした。

2024年12月24日

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